【ニュース小説】「ご自分の口では言えないから私が言う。」

ある日、小林専務側から、経理の矛盾点を指摘する通達があった。渡辺が社長についてから3年間の間に毎年、合わせて1000万を超えるほどのグレーな経費が出ているというクレームがついた。

広川は、この経費が何に使われているのかを知っていた。「交際費」と計上されているこの経費は、渡辺が社長となり、財界の中心人物たちに取り入ろうとしての「交際費」として使われてるものだ。

小林専務はこんなに必要なのかと至極もっともな意見で迫ってきていて、今度の役員会議の議題にするという。渡辺社長は、広川に「使い道は、私の立場上、会社のための交際費としか言えない。援護をよろしく頼むよ。」と言われている。

実際に渡辺の「交際費」使用の際、財務のこともあるのでついてきてほしいといわれて、ついて行ったこともあった。目の前で領収書を手にしたこともある。その場で見たことをしっかり小林専務たちに説明し、「使途不明金」ではないという疑惑を晴らさねばならない。と広川は心に誓ったのだ。そうすることが社長の右腕たる自分の役目だという使命感にかられた。

 

役員会の席。様々な経営状況の報告や、プロジェクトと進捗状況が報告されていく。その時、少し会社の売り上げ状況が落ち込んできている実情が告げられた。役員たちの眉間にしわが寄る。しかし長期的に見ての回復のプランを報告されるが、実現するのかどうかも正直わからない状況だ。打開策を講じねばならないと役員たちは頭の中で巡らせる。

役員会は重たい空気になってしまっている。