渡辺は「何を言い出すんだ?」とつぶやくが、緊張してる広川の耳には届かない。広川はさらに聞きたそうにしている役員の視線のほうが気になって、その期待に応えないとと思うようになっていた。
広川は続ける
「クラブですので、ホステスさんがついてくださいまして、常時お世話をしてくださいます。彼女たちの掌で転がされるとでもいうのでしょうか?社長も赤ん坊のようになって、ホステスさんにお世話をしてもらいます。そうすることで財界の皆様も心が赤ん坊のように丸裸になっていくんだ、と社長がおっしゃりまして、接待相手の財界の皆様方も
赤ん坊のように丸裸になり、ホステスと乱れながら、抜き差しならぬ遊びに興じ、お互いの心を開かれていくのです。」
渡辺は顔を赤らめ、声を荒げて「広川!!!!なんていうことを言うんだ!!!」
と怒鳴る。
小林専務は「これはどういうことですか!?」と詰めてくる。
渡辺社長は「これは広川の勝手な妄想だ!たとえそんなことをしていたとしても、役員会でそんなことを発表すると思うか?広川くん、紛らわしい言い方をしないでくれ!
会員制クラブで、酒の接待をしただけだといいなさい!」
広川「は!申し訳ございません!!」
渡辺「酒の接待でというだけでも、言いにくいご時世になっているのに、君というやつは!」
広川「申し訳ございません、社長は立場上、自分の口では言えないので、私がいいにきたのに、紛らわしいことをいって、申し訳ございません」
小林「言えないことってなんだね!」
渡辺「酒の接待のことだ。もういい、そこでどんな会話があって、相手の人とどんな会話を交わしてきたのか、話してやれ!!」
小林「広川君、さあ!!」
広川は、その威圧感に負けて、こういった
広川「し、社長は、・・・・『きもちいい、でちゅ。ママ。』『そう、よかったでちゅね~。』『もっと気持ちよくちて~~。』『はいはい、わかりました。』・・・・。」
この日の役員会は、より重たい空気となってしまった。
=おわり=